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タケちゃん

それ行け!タケちゃん その1

私は一応技術職と言うジャンルで食べている。
比較的職人気質の人の多い職場で、仕事そのものの覚え方も、所謂徒弟制度的な感覚である場合が多い。

かく言う私にも、この職に於いての師匠と呼べる人がいる。

タケちゃんである。

さて、このタケちゃん、仕事には非常に厳しい人で、ある意味、完璧主義者的な側面を持つ、根っからの職人さんである。
仕事に於いては大変尊敬できる人物であるし、紛れも無く私の恩師である。

但し、この人、素行には些か問題がある。
いや、もちろん、常軌を逸している訳では無いのだが、なんと言うか、一言で言うと破天荒なのである。
違う言い方をすれば豪快とも言う。

そんなタケちゃんの愉快なエピソードをシリーズで展開して行こうと思う。
記念すべき第一弾として、何を話そうか迷ったのだが、レストランでの一件をお話ししたいと思う。


タケちゃんは随分前から独立起業している。
で、当時会社員だった私に、アルバイトとして仕事をくれていたのだ。
ある日、タケちゃんからアルバイトの依頼を受け出向いたのだが、とりあえず飯を食おうと言う事になり、タケちゃん宅の近くのレストランに行くこととなった。

タ「すいかさん、なんでも食ってよ」
私「タケちゃんさん、いつもすいません」

なんて言う、平和な日常会話をしつつ、食事を楽しもうと思っていた。
私とタケちゃんは、サイドメニューとしてドリンクバーを利用する事にした。
当時、ファミレスに於けるドリンクバーなるものが普及し始めた頃で、セルフサービスなるものに消費者があまり慣れていなかったのだ。

慣れていなかったのだが・・・。

タ「じゃ、俺、コーヒー取ってくるよ」
私「あ、いってらっしゃい」

そう言うと、タケちゃんはドリンクバーに歩いて言った。
二人いっぺん席を立つのは(貴重品等あるので)やや危険なので、私はタケちゃんが席に戻ってくるまで待っていた。
すると突然ドリンクバーコーナーに異変が起こった。

プシューーーーー!!

けたたましい噴射音と共に、ドリンクコーナーが煙にまかれているのである。

「え?」

私を始め、その店にいたであろう人間全員がドリンクコーナーを凝視した。
そして更に噴射音は続く。

プシューーーーー!!
プシューーーーー!!
プシュッ!

その噴射音と共に、大量の煙がドリンクバーコーナーを覆う。

何事かと目をやると、どうやらその煙はコーヒーメーカーから出てるらしい。
で、その煙はどうして出てるのかと言うと・・・。

タケちゃんがなにやら一生懸命ボタンを押している。

そう、その煙は、タケちゃんがコーヒーメーカーの何かのボタンを押しているが故に出ているのだ。

時は昼時。

人で賑わっているドリンクコーナーは、ある種、パニックである。
タケちゃんが押す度に出てくる噴煙に、そばにいるオバチャンは悲鳴を上げている。

プシューーーー!!
ヒエーーーーー!!

立ち込める煙と女性の悲鳴・・・。
怪談さながらの出来事が昼間のファミレスで展開されているのである。

流石に私も気になって、コーヒーメーカーと格闘しているタケちゃんのところに行った。

私「どうしたんですか?」
タ「コーヒーが出ないんだよ」

で、タケちゃんがしつこく押しているボタンに目をやると、こう書かれている。

絶対に押さないで下さい

つまり、絶対に押してはいけないボタンを、何度も何度も押していたのである。
そりゃコーヒーは出てこないさ。
だってそのボタン、コーヒーメーカーの洗浄用のボタンなのだから。

しばらくして店員が来て丁寧に説明してくれたので、タケちゃんは晴れてホットコーヒーを持って席に戻って来る事となる。

店中の注目を浴びつつである。

タ「いやぁ、ビックリしちゃったねぇ」

きっとビックリしたのは、あなた以外の全員だと思う。
普通、コーヒーじゃなくて煙が出てきたら、その時点で自分の行ってるアクションを停止するのだが、タケちゃんは何度も果敢に挑戦したのである。
そこには、およそファミリーレストランでは見る事が出来ないであろう、非日常的な光景が繰り広げられている訳だ。

タ「あんなところに押しちゃいけないボタンがあるのはまずいよね」

果たして、そのレストランで起きた、昼下がりのオバチャンを恐怖のズンドコに陥れた噴煙事件は、コーヒーメーカーの構造に問題があるのか、それとも、でかでかとボタン横に書かれていた「絶対に押さないで下さい」と言う文字を無視して、何度も何度もボタンを押した初老のオジサンに問題があるのか・・・。

どう考えるかは、あなた次第!!


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