ラジオ大好き少年だった私は当然札幌でも毎日ラジオを聞いていた。
中でもお気に入りだったのが、「エミ子の長いつきあい」と言う、確か10分程度番組だったと思う。
♪何となく愛して、何となく別れた、けれど又出会った街の角
何となく長い付き合いになりそうな山野楽器♪
と言うテーマで番組は始まる。
パーソナリティーは中山恵美子氏。
放送局は北海道HBC放送。
歌詞にあるように山野楽器が提供である。
因みにエンディングは、ほぼオープニングと一緒なのだが
♪何となく愛して、何となく別れた、けれど又出会った、「札幌」
何となく長い付き合いになりそうな山野楽器♪
となり、「ああ、これって札幌の番組なんだなぁ」と感じさせてくれた。
中山恵美子さんの細くて優しい声が何とも心地よく、少年だった私はうっとりと聞いていたと思う。
気分をほんわかとさせてくれる素敵な番組だった。
月曜から金曜までやっているこの番組は、札幌に遊びに行った私の毎晩の密かな楽しみだったのだ。
いきなり時間を早送りするが、夏休みの1ヶ月が過ぎ私は東京に帰ってきた。
北海道の滞在は実に楽しいもので、帰宅してからも遠い札幌への思いを募らせていたりした。
何より帰宅して一番もどかしかった事が「エミ子の長いつきあい」が聞けないと言う事だ。
これはどうにかせねばならん。
しかしどうしたものか?
ラジオも普通のラジカセのラジオしか持っていない。
だがどうしても北海道札幌HBC放送の「エミ子の長いつきあい」が聞きたいのだ。
そこで思いついた。
クラスの友人から聞いた事がある、「被覆銅線を物干しに張って、その先端の被覆を剥き、ラジオのアンテナに接触させれば感度がよくなる」と言う事を。
これは試さねばならん。
物干しを使うとオカンが怒るのはわかっているので、別のところに被覆銅線アンテナを張らなくてはならない。
しかも比較的広くて高い場所にだ。
考えた結果思いついた。
「屋根があるじゃないか!」
私の部屋は離れのプレハブだ。
窓からつたって屋根の上に行くのも難しい事ではない。
そうと決まれば話は早い。
私は早速プレハブの屋根の上り、被覆銅線アンテナを張り巡らせた。
銅線の先端は私のラジカセのアンテナへグルグルと巻きつけ、いざ周波数をHBCに合わせたところ・・・。
聞こえた!
入ったのだ。
北海道の電波が東京都下の我が家のラジオに!
これには興奮した。
何しろ東京にいながら「エミ子の長いつきあい」が聞けるのだ!
勿論感度はあまりよろしくないのは否めないが、ちゃんと聞きとる事が出来るレベルなのだ。
何と言えばいいのだろう、東京にいながら、心だけを北海道に移動させた様な、そんな気分に浸る事が出来る出来事だった。
当然それからと言うもの、やや聞き取りにくい「エミ子の長いつきあい」を聞く毎日がしばらく続いた。
そんなある日、私はTBSラジオに周波数を合わせた。
因みに、普段はニッポン放送の「大入りダイヤル、まだ宵の口」を聞いていたのだが、その日は気まぐれでTBSに周波数を合わせた。
「大入りダイヤル、まだ宵の口」がやっている時間帯は、TBSでは「夜はともだち」と言う番組がやっていたのだが、こちらも実に人気のある番組だった為当然知っていたし時々聞いたりもしていた。
ところが残念な事に、ラジオの周波数を合わせると、どうやら「夜はともだち」はもう終わっている様だった。
何気なくそのままTBSを聞いていると、何故かあのオープニングが!!
♪何となく愛して〜♪
え?
何で?
何で「エミ子の長いつきあい」がTBSでやってるの?
あれは北海道の番組だ。
エンディングで ♪札幌〜♪ と歌っているのだから北海道の番組である事は間違いないのだが、何故かここ、東京でも放送している。
不思議に思いつつも、とりあえずそのままエンディングまで番組を聞き続けた。
因みにこれを聞く数時間前、私は例によってHBCで「エミ子の長いつきあい」を聞いたばっかりだったが、内容は全く一緒だった。
つまり地方局の番組を東京の局でもやってると言うわけだ。
まぁそれならそれでいい、感度の良い状態で北海道のお気に入りの番組が聞けるのだ。
そんなこんなで、いよいよエンディング。
♪札幌〜♪ のフレーズが流れてくるはずだ。
私はこの ♪札幌〜♪ の部分が大好きなのだ。
♪♪何となく愛して、何となく別れた、けれど又出会った、
銀座〜♪
えーーーーーーーーーーー!!
なんでーーーーーーーーー!!
要するにね、TBSがキー局な訳よ。
で、各地方でも放送していると言うのが正解な訳。
その際に、その地方各々の地名に置き換えたエンディングを使用しているって訳さ。
それをたまたま北海道に行った際に聞いたもんだから、勝手に「ああ、これは北海道の番組なんだな」と思い込んでただけな訳さ。
(へっ、思わず「訳」を連発しちまったぜ。)
そりゃそうだよな、山野楽器って銀座、つまり東京だもんな。
そう言や番組中、「北は北海道から、南は沖縄まで、入るところは入る、入らないところは入らない」みたいな事を言ってたなぁ。
つまり全国ネットで放送していると言う事を暗に示唆していたのだが、子供の私にそんな事は察する事は出来なかったって事だったのね。
さて、TBSでも放送されているとわかった「エミ子の長いつきあい」だが、私はそれからも頑なにHBCで聞き続けた。
なんて言うかなぁ、あの、♪札幌〜♪ のフレーズがよかったんだよね。
それに、遠く北海道の電波が東京まで届いてるんだって思うと、何だかとても楽しかったのさ。
先日youtubeをサーフィンしてたら、いるんだねぇ、アップしてる人。
うーん、懐かしい。
そして、やっぱりこの頃のラジオはいいね。
しかしこの番組、何種類のエンディングがあったのかな?
例えば大阪だったら ♪堺〜♪ とか、静岡だったら ♪浜松〜♪ とかだったのかな?
今となってはもう知る術はないけどね。
どうでもいいけど、私はこの後、BCLラジオに凝ってしまい、すっかりラジオ少年になってしまったと言うオチがある。
北海道どころか、遠く地球の裏側の放送まで聞くようになったのさ。
勿論HBCのべリカードだって持ってたぜ!!
あ、そうそう。
つい最近、中山恵美子さんのアルバムを入手したのだけど、数十年経って、初めてラジオで流れていた曲をフルコーラスを聴くことになり感慨無量だったりする。
因みに曲のタイトルは「長いつきあい」。
アルバムにはラジオバージョンも収録されていて、これ又懐かしさ炸裂で思わず目頭が熱くなってしまう事受け合いだ。
オープニングバージョンが冒頭で流れるのだが、残念ながらエンディングバージョンは収録されていない。
出来れば「札幌〜♪」バージョンを入れて欲しかったところではあるが、補って余りある程の懐かしい心地よさがオイラの胸を熱くさせるぜ!
よろしくお願いします。
初めまして、宜しくお願いします。
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よろしくお願いします。
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